ものとその重さ
 『未来の科学教育』(板倉聖宣著・国土社)という本があります。
この本は私が初めて仮説実験授業に出会った思い出の本なのですが,この本には,《ものとその重さ》の授業の様子が書かれています。自然科学,こと物理に関して自信たっぷりだった私は,この授業書に出てくる問題に自信を持って答えられないことに愕然としました。その問題は私にとっても,とっても基本的だと思えたからなおさらです。
 この授業書で扱っている内容は,一言で言うと「重さの保存性」ですが,私にはここで扱っている内容は,ほかの授業書に比べても,とてもとても基本的に思えるので,すべてての子どもにこの授業書を体験して欲しい・・・とすら思います。
 私は,この授業書を,下は小学校2年生,上は,中学校の1年生でやりました。どの学年でもちゃんとそのねらいをつかんでくれます。いや,むしろ小さい子の方が単純に受け入れてくれて,正答率が高かったりする問題もあります。どの学年でもとても楽しく授業ができました。 最後のお話には,紙芝居も作られています。

 体重計を使った問題が出てきますが,最近はアナログの体重計なんてありません。デジタル式のものを使う場合は,体重のかかる場所が違うことによって細かいところで多少違った値がでてしまうことがあるので要注意です。細かい目盛りは見えないように隠すなど工夫したほうがいいです。おせんべいの問題では,実験用の他に食べるためのものも準備しておくと,喜ばれます。
 他は,特別な実験道具もいらないし,授業書さえ準備すればすぐにでもできる授業書です。
                                              


もしも原子が見えたなら
 この授業書は,他のどの授業書よりも幅広く,そしてたくさん行われている授業書です。私は,小学校1年生から中学校3年生まで,ほとんどどの学年でもやったことがあります。ほかの授業書と違って,問題は1問しかありません。その点ちょっと異色の授業書であるといってもいいでしょう。仮説・実験・授業と言うよりも,イメージ検証授業・・・又は,イメージ形成授業といったほうがいいような感じがします。
 題名どおり原子についてのイメージを作り上げていく授業書ですが,この授業書ほど人気のある授業書もないといってもいいくらい人気のある授業書でもあります。

 うちの子どもたちは生まれたときから分子模型がその辺に転がっているような家庭に育ち,分子原子は身近な存在だったのですが,この授業書を受けたことによって,基本的な共通のイメージを育て上げることができたような気がしています。
 私はこの授業書をするときには,必ず模型作りを行っていますが,模型作りをしなくても,楽しい授業を実現している人も多いようです。でも・・・・模型作りってとっても楽しいので,私はいつもやります。

 分子模型作りは,以前は自分で発泡スチロール球を買って,子供たちに色を塗ってもらってやったものですが,最近は,このHPからリンクしている「障害福祉事業所 コパン」の「もしも原子が見えたなら 手作りセット」を買ってやっています。手作りセットは,1人分ずつがセットになっています。しかし,私は「授業書の中でその分子が出てくるたびにつくる」という方法で授業したいので,一人分ずつのセットではなく,同じ分子ばかりを人数分袋詰めしてくれるよう頼んで送ってもらっています。セットには台紙がついているのですが,私はいつもカラーでない白黒の台紙をお願いしています,
 
 子どもたちのやることは色の塗ってある発泡スチロール球をただ木工用ボンドでくっつけるだけですが,それでも「自分で分子模型を作った」という気になりますし,何しろ色がとってもきれいなので,満足度が高いのです。作った分子模型は,授業書で勉強しているときは卵パックにつめてもらっておくことが多いです。そして,最後には,昔はきちんとした箱に入れていましたが,最近では違う方法にしています。その方法とは,コパンのセットに一緒についてくる台紙の上に分子模型を貼り付けたあと,コパンのセットについてくるビニール袋に入れる方法です。これでもちゃんと飾っておくといいようなものになります。
 分子模型については,「ぼんてん」という手芸用の小さな丸い球を使って作ることもできます。「ぼんてん」は仮説社で売っています。

 この授業書にでてくる分子模型は,実体積模型といわれるものですが,分子模型にはそれ以外のものもあります。しかし,ここででてくるイメージでずっと分子を考えて何ら問題はありません。それどころか,むしろ,さらに発展した場合にも,このイメージでつかんでいた方が豊かに考えることができ,有効です。

  私はこの授業を,下は小学校1年生,上は中学校の3年生で行いました。小さい学年の子でも,この内容は抵抗なくすんなり受け入れてくれて,とても歓迎しますが,親にしてみると,小学校低学年で原子の勉強というのはびっくりされることがありるので,その点については配慮したほうがいいと思います。でも,親さんたちは,〈自分が難しいと思っていたこと〉を幼い子がすんなりととても楽しく学んでいることを知るととても感激してくれます。
 
 この授業の内容を劇にしたものもありますが,これも好評です。

 また,この授業書を終わった後には,いくつかのカードゲームがあります。どれも仮説社で売っていて,どれも好評です。「基本の原子・分子カルタ」・モルQモルカです。

  また,空気中の分子が飛び回るところを見ることのできる「もしも原子が見えたなら シミュレーション版」も仮説社で売っています。これのスマホ版もあって,それはアップルストアで売っています。これを使うと,温度が変化した時の分子の動きの様子の変化を見ることもできます。
 
  


空気の重さ
 もともと<ものとその重さ>の第3部だったもの。気体の重さについて扱っています。失敗・失敗,また失敗の科学史の話も面白いです。簡単には実験できない問題も,ありますが,そういうところはビデオを利用してもいいです。でも,真空ポンプって結構どこの学校にもあって,ほこりをかぶっていると思うので,授業書どおりの実験はできなくても真空ポンプを使っていろいろ見せてあげると喜んでくれます。
 私はこの授業書は,小4と中1でやりました。 
                                             

気と水
 これは,中学校でやる人もいるようだけど,私は小学校の低・中学年(1〜4年)でしかやったことがありません。でも,初めて仮説実験授業をやる人への入門の授業書としてはとてもお勧めの授業書です。

 デジタル版も仮説社で販売されています。デジタル版はカラーでとてもきれいですし,現代に合わせて内容も少しだけアップデートしてあります。
 
 もともと低学年用に作られていて,文にもひらがなが多いです。空気の存在を認識し,「自然は真空を嫌う」みたいな感じの事を扱っています。比較的短いし,実験も難しくないので,出会いの授業書としてはいいかなあと思います。

 授業書にでてくるスポイトを一人1個ずつあげたり,1mのビニール管(ホームセンターで頼むと1mずつ切ってくれる)をあげるととっても喜んでくれます。

 カンジュースの缶に穴をあける問題が出てきますが,これは大きめのくぎを使って,トンカチでたたけばいいです。
 そしてこの問題のところでは引き続いた2問の実験のあとワンカップ大関など透明な入れ物で水と空気の動きを見せるといいです。

 問題の結果がわかったら思う存分水遊びをさせてあげるといいので,どちらかというと暑い季節にやった方がいいと思います。

授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 目に見えるようなものについての知識は何も系統的に学ばなくてもそのものを見る機会さえあれば簡単に身につけることができます。しかし目に見えないものということになると,そう簡単にはいきません。この授業書や絵本はそういう目に見えない空気についても考えられるような子供を育てようという科学教育の第一歩をねらったものにほかなりません。

                                              


溶解
 この授業書は私にとっての「初めての授業書」でした。でも,子供たちが,どのくらい楽しんでいるのかって事はわからなくて,最後に取った感想文を見て,「えっ〜〜!!こんなに楽しんでいてくれたの〜〜??!!」とびっくりした時のことは今も忘れられません。

 「ものがとけるというのは,どういうことか」といったことを学びます。私は,下は小2,上は中1でやりました。
 硫酸銅・松ヤニ・ヨウ素といった薬品が必要です。硫酸銅は劇薬なので,取扱い要注意ですが,そういう物質がでてくるのも楽しいことです。油性ペンでの落書きも楽しいですが,ものによって落ちにくいこともあるので,注意。

 砂糖や塩を溶かす実験は,私はグループでやってもらって,10gずつ溶かしていきとけたらそれをのせていた紙を黒板に貼っていくという方法でやっています。
 各グループ同じ数だけ紙が貼られて止まるのは見事です。

授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 この授業書は,「原子分子のイメージを与える」「物質の多様性」「いろいろやってみることの重要性」の三つを理解し,会得することができるように構成されているわけです。

                                              


結晶
 この授業書は授業ノートを作ったので,とても勉強したという感じだし,そういう意味での思い出もあります。これも下は小2,上は,中2くらいかな?
 文字通り「結晶」について学ぶわけですが,普通の人が結晶なんて思っていなかったあんなものも,こんなものも・・・・というのもとても感動的です。<溶解><結晶><三態変化>は3部作とも呼ばれたりしますが,3つ続けてやらなくてもそれだけで楽しいし,結晶のできる様子を生き生きと思い描けるようになります。

 結晶作りの作業もありますが,夏場の方がずっと効率がいいです。授業書の指示にしたがって作ると,かなり大きくきれいなミョウバンの結晶を作り上げることができます。ビー玉による結晶模型作りもあるので,そのためのビー玉の用意も必要です。
 見せるための鉱物結晶標本も,あるといいですが,これはたくさんそろえるにはお金がかかります。私はあちこちへ行ったときに少しずつ集めましたが,はじめてやる人は誰かに借りるといいと思います。各地にサークルがありますが,そこへ行くと,そういうようなものをともても気軽に貸してくれる人がいますので,遠慮せずに頼るといいと思います。

 最近はビー玉でなくビービー弾を使った結晶模型作りやビービー弾と同じぐらいの大きさの発泡スチロール球を使った結晶模型つくりも開発されています。

授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 この授業書は「ほとんどすべての固体は原子・分子・イオンなどが整然と並んだ結晶の集まりからできている」ということを,できるだけ直感的に生き生きと納得できるようにすることをねらいとして作られた授業書です。
         

                                               


三態変化
 この授業書も下は小2,上は中1でやりました。ビニール袋を膨らませる実験は,メチルアルコールでやると失敗がありません。過熱水蒸気の銅管を熱するところ以外は,すべてアルコールランプでできてしまいます。音声のないビデオがあり,内容がすごくいいので是非見せたいです。手に入りにくいものは銅管くらいかな?

 分子原子の考え方が出てきますが,<もしも原子が見えたなら>がやってある必要はありません。具体的な分子の形など知らなくても,粒々のイメージで充分だからです。でも,<もしも原子が見えたなら>をやっていればやっているだけのことはあるでしょう。大きな袋に発泡スチロール球を入れて,袋を振ったりして,袋の中の粒で固体・液体・気体のイメージつくりをするといいです。これは子供たちにとってもうけます。

 授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 この授業書のねらいは「ものは粒(原子・分子)からできており,その粒の集まった集団の状態の変化によって。固体(結晶)になったり,液体や気体になったりする」ということを分からせることにあるといえます。
                                    


見えない気体をつかまえよう
ドライアイスで遊ぼう

 この授業書はずばり夏向きです。幼稚園児から大人にまで楽しんでもらえます。ドライアイスでシャーベットを作ったり,ドライアイス鉄砲を作ったり・・・,文句なしに楽しめます。私は下は小1,上は中3かな?

 この二つは内容的によく似ていますが,<見えない気体をつかまえよう>の方が,少し理論的なことが多くなっていますが,私はこっちの方が好きで,小1でも,こっちでやりました。『ドライアイスで遊ぼう』という絵本も出ています。
 ドライアイスは,うちの近くでは『ドライアイス屋さん』があるのでそこで手に入れますが,アイスクリーム屋さんで売ってくれたり,葬儀屋さんで手に入るそうです。電話帳なんかで探してみるといいです。ただし,ドライアイスは,冷凍庫に入れておいてもどんどん気体になってしまうので,使うその日に買ったほうがいいです。「今日はドライアイスの日」という感じで,1日中やっていたこともあります。
 <もしも原子が見えたなら>をやった後だと,分子模型を使っていろいろイメージができるので,私はいつもやってからやっていたけど,そうでなくてもできます。

 《ドライアイスで遊ぼう》には第2部もありますが,これもスモークつくりやドライアイスクリーム作りがあって,楽しいです。私は1学期の終わりに第1部。3学期の終わりに第2部をやりました。その間に《もしも原子が見えたなら》をやったので,1部の時には分子を使っての説明はできないけど,2部では分子を使っての説明もしました。

 ただ,ドライアイスは閉じ込めるととても危険なので,ドライアイスが余ったからと言って,持ち帰ってもらうようなことはやめたほうがいいと思います。また,その危険性についてもちゃんと話しておいたほうがいいと思います。

 私はいつも授業の終盤,ドライアイスはどんどん気体になってしまうということを学んだ後に,に子供たちに以下の話をします。(実話です)

 それは私がある小学校に勤めていた時のこと,給食にアイスクリームが出ました。そしてそのアイスクリームにはドライアイスもついてきていました。この出来事は,私のクラスでの出来事ではありません。隣のクラスでの出来事でした。
 隣のクラスのある男の子,きっとドライアイスの性質は知らなくて,氷と同じようなものに思っていたのでしょう。彼はアイスクリームについていたドライアイスを勝手に持ってきて,自分の水筒に入れました。金属製のとても頑丈な水筒でした。彼はその水筒の口をしっかり閉めて,廊下に置いてあった机の上にその水筒を置いて,昼休み,外に遊びに行きました。
さて,その水筒はどうなったと思いますか。
 その日の昼休み,私は自分のクラスでお仕事をしていました。すると「ドカーン」という大きな音。何事が起ったのか?と廊下に出ました。すると,そこには,「水筒のふたが爆発して吹っ飛んで,天井に穴が開いている」という状況がありました。近くにはだれもいなかったので,怪我をしたような子供はいませんでした。被害は廊下の天井の穴だけでした。何でその水筒が爆発したのかが分かったのは,その後の事でした。近くに誰もいなかったので,よかったけど,もしも誰かいたら…と考えたら,ぞっとしました。天井には板を当てて修理されました。今でもその学校へ行くとその天井を見ることができるかもしれません。
                                             


空気と気圧
 2019年10月に出来上がった授業書です。
 気圧とそれによって起こる様々な現象について学び,空気の分子運動について生き生きとした,イメージを描けるようになることをねらいとした授業書です。
 
 大気圧というと,一般的には「空気の重さによって生じる圧力」と説明されることが多いのですが,その説明は採用せず,気圧を気体の分子運動で説明しています。
                                             


 

ねと力
   この授業書は,小学校低学年には少し無理があると思います。私は,一番下は,小学校4年生でやったことがありますが,小学校高学年から中学生位で行うのが普通でしょう。私は上は中3です。静力学を学びます。
 一般に,中学校の力学教育というと,嫌われ者の代表で,テストをしても平均点30点というのがまれではないようです。でも,この授業書はほかの授業書と同様楽しく学べ,概念の獲得ができます。そして,この授業書で学べることの大きなことの1つは,「原理的なものの見方」であると私は思っています。

 実はこの授業書も私にとってはとても思い出深い授業書です。というのは,この授業書で初めて挫折感を味わったからです。・・・・・なんてことを言うと,「難しそう!」なんて思われてしまうかもしれませんが,当時の私が授業運営法をちゃんと理解していなかったのがその原因のすべてです。私が,初めてやる人に対して,授業運営法について,結構「真っ先に」という感じでいうのもそのためといってもいいです。
 派手な実験はないけど,とても深く考えることができ,考える楽しさを味合うことのできる授業書という感じです。「力のおよぼしあい」のビデオは必需品です。

 この授業書を題材に仮説実験授業を語った『仮説実験授業 ばねと力によるその具体化』(板倉聖宣著・仮説社)という本があります。本格的に仮説実験授業を学ぼうと思う人にはぜひ読んでいただきたい本です。
                                             


力と運動
   この授業書は,私は中3でしかやったことがありませんが,小6での実践もあります。動力学の授業書で,私は<ばねと力>をやってからやった方がよいのではないかと思っています。
 結構ダイナミックな実験が多く,しかも「え〜〜〜っ!!ホント!!信じられないよ〜〜〜!!!」なんて事もたくさんあって,とても楽しいです。落下の法則や慣性の法則を扱っています。

  普通の理科室にある道具では,実験できない問題もあるのですが,道具を借りたり,ビデオを使うとよいと思います。岡山の三木さんの作ったビデオが優れものです。また,いろいろな人が簡単に出来る実験道具の開発をしています。
                                             


トルクと重心
 第6部まである長いもの(といっても6部はさおばかり作りですが)。1・2部だけを行う人が多いけど,そこまでやったら第5部をその後にやるのが私のお薦めです。時間がなくても,1・2・5部くらいやると楽しさが満喫できるような気がします。

 私は5年生でしかやったことがないけど,これは低学年では,ちょっと無理だと思います。計算が出てくるので,高学年でも計算の苦手な子に対する配慮が必要です。力の矢印だけでなく,トルクの矢印も書いて考えるようにするとよいのではないかと私は思っています。   
                                              


浮力と密度
 この授業書をやって,「浮力がやっと分かった」という人は少なくないようですが,私はむしろ「密度ってこういうものだったのか」と思いました。私は中1でしかやったことはありませんが,<ばねと力>をやってからやった方がいいのではないかと思う授業書です。 

 この授業書には<重さと力>という部分が前についていますが,それをやってからやったほうがわかりやすくなります。

 でも,2016年に「街角かがく倶楽部」でこの授業をした時には,〈重さと力〉もやらず,《ばねと力》もやってない状態で,「力の矢印」を一切使わず授業してしまいました。そんな風にもできて,何だか「良かったな〜」とか思っていた私でした。   

                                                                    授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 この授業書は「浮力の原理」を通して,子どもたちに「数量的な法則がごく簡単な実験でみごとに証明される」ことを体験させ,「あらゆる自然現象を物質の間の機械的な力の作用によって説明する」という力学的なものの見方の有効性を知らせようとするものです。
                                                             


ふりこと振動
   一番初めに作られた授業書です。私は5年生でしかやったことがないけど,そんなに高学年向きというほどでもありません。
 ふりこの等時性を扱っていますが,それだけにとどまらず,振動一般に話の広がるところが,仮説実験授業ならでは・・・という感じです。地震のことなんかについての認識も深くなります。これにも三木さんの作ったビデオがあります。

 授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 ふりこの振動を手がかりとして,振動の概念を教えることを目標としています。
                                                


おもりのはたらき
 低学年向きの授業書です。やじろべいやおきあがりこぼしなどを作って,どんなときにうまくつりあうかを考えていきます。おもちゃ作りを子供たちはとても喜んでくれます。

 起き上がりこぼしを作るため,底につけるガチャガチャのカプセルは伊藤正道さんから購入。1個15円ぐらいでした。粘土は油粘土を30g。軽い粘土だといっぱい入れてもおもりにならないことがあるので注意です。

 この中にでてくるヨットにつけるおもりは今までは,鉛のおもりを使っていました。しかし「鉛には毒性がある」ということで,「もしも保護者の中にそういうことに敏感な人がいると,クレームが来るかもしれないな〜」と思うようになりました。そのためほかのものを探していたのですが,なかなか見つけることができませんでした。
 しかし,2022年9月になって,やっと発見しました。
 要するに「ヨットの軸は竹串」ということからなかなか抜け出せなかったので,困っていたのです。,「軸は竹串ではなくアルミ線でいい」と思ったら,「それにナットをくくりつければいい」ということになりました。(右図)

 ヨットの本体はホームセンターで売っている「バックパップ材」というポリエチレン製で直径が2pぐらいの管のようなものを使うといいです。帆は,100均で売っているホログラム千代紙で作りました。アルミ線は1mmのもの,ナットはM12というものを使いましたが,ナットが重すぎると沈んでしまうので,本体や帆の大きさによってはナットの大きさを考えた方がいいと思います。

 やじろべえは,アルミ線とアルミ箔を丸めたものをおもりにします。アルミ線は正道さんの授業ノートによると,直径1.2〜1.5mmとありましたが,私が買いに行ったときにはそういうものがなかったので,2mmのものを買ってしまいました。それでもよかったのですが,こどもえん(幼児)での授業だったため,針金を曲げることは難しそうに思えたので私の方でみんなやっておきました。その際針金の先は曲げて置きました。その曲げ方は,丸めたアルミ箔が引っかかるように大きく曲げておかないといけないということが,やってみてよく分かりました。
 最後はバランストンボでなく,バランスバードにしました。とても簡単に作れるのでお勧めです。こちらです。
 
  授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 この授業書のねらいは重心やつりあいを教えることではなく「ものを倒れにくいようにしたければ,下の方におもりをつければよい」という一つの技術的な知恵,コツを知らせよう,発見させようというものです。
                                                                                     


コマで遊ぼう
 低学年向きのミニ授業書として作られたものですが,高学年でも楽しんでもらえることが報告されています。
 このミニ授業書のねらいは
(1)「どんなコマがよくまわるか」ということをテーマに,仮説・実験をして真理を探る楽しさを体験する。
(2)「どんな形の板でも重心に軸をつけることができればコマになる」ということを知る事によって,科学上の真理は,条件・範囲内では「すべて同じ理屈で行ける」ということを感じ取る。
(3)自分でコマを作ったり,まわしたりして,楽しむ。
という3つです。ただし,小さい学年の場合には,第1部だけで終わることも考えられます。その場合には,上記(1)(3)がねらいとなります。
月刊『たのしい授業』2022年1月号に,ミニ授業書とその解説が掲載されていますが,単独の冊子も販売されています。。

 このミニ授業書では,子どもたちにコマを作ってもらうことになっています。小さい子供たちの場合には「ペットボトルと発表スチロールビーズを使うコマ」が紹介されていますが,その後,発泡スチロールビーズよりも,きれいな半球がシールになったデコレーションシール(百均で売っている)というものを使うと,より簡単でより美しいということが発見されました。
                                               


電池と回路
 電気の学習においては,最も基本的なものだと思います。私はは小2・3・4,中2で行ったことがあります。中学生でっも学び甲斐のある内容です。

 子どもたち一人一人にも電池と豆電球とソケットを持ってもらって自分で実験もしてもらったほうがいいです。ただ豆電球をつけるだけの事でもとても喜んでくれるし,スイッチ作りなんかも楽しいです。三路スイッチというのが出てきてとても難しいのですが,これにはその模型があると良いです。 発光ダイオードやコンデンサーも,とても楽しいのですが,やや手に入りにくいです。パーツ屋さんや入門講座などで手に入れるといいです。

 授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 この授業書は電気について全く学んだことのない小学校2年〜4年ぐらいの子どもたちを念頭において「電流と回路」について最も基礎的な知識を与えることをねらったものです。もちろん小学2年生〜4年生でなくても電流や回路についての明確な概念を持っていない人なら,中学生や高校生,母親や教師といった人たちに教えるのにも役立てることができるはずです。
                                                     


磁 石
 1・2年生で磁石に関することをやるなら《ふしぎな石じしゃく》ですが,3年生以上なら《磁石》の方がいいと思います。「この授業書をやれば,磁石のすべてが分かる」というのは言い過ぎかもしれないけど,でも,気持ちとしてはそんな気持ちになれます。私は小3でやりました。また,中2では第2部をやりました。
 
 ギルバート先生のお話については,紙芝居が仮説社で売られています。第3部には磁石を割る問題が出てきますが,百均で買った磁石を堅いところにおいて,トンカチで思いっきってたたくと割れます。破片が飛び散ることもないので,子供たちの目の前で割って見せることも可能です。                                                                             


自由電子が見えたなら
 もともと「電気を通すもの・通さないもの」として発表されたプランが,発展して出来上がりました。実験的には「電気を通すものにはどんなものがあるか」ということで,進んでいきますが,そこから,自由電子というものが見えてきてしまうのがすごいです。
 小さい子から大人にまで通用するという感じの授業書です。やるときには,自由電子テスターと名づけられた,電気がとおると豆電球がつくだけでなくブザー がなるように作られたものが用意できるといいです。それがあれば,あとは特別なものはほとんどいりません。
 私は,下は小2,上は大学生や大人でもでやりました。                    

 授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 この授業書は「すべての金属には自由電子がいっぱいある」ことを教え,「なぜ金属は電気をよく通すのか」ということだけでなく,「金属はなぜ熱をよく伝えるのか」「金属はなぜ変形自由なのか」といったことまで教えるようになっています。これまでの「電気を伝えるもの,伝えないもの」といっただけの授業よりもずっと視野を広げることをねらっています。

 


ふしぎな石じしゃく
 低学年向きの授業書です。どんなものが磁石に吸い付くかということをやったり砂鉄集めをしたりします。私は小1・2でやりました。砂鉄集めもたのしいです。もし磁鉄鉱が用意できると用意するといいです。劇もあります。 

 授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 第一部では「金属の中で普通磁石にくっつくのは鉄とニッケルとステンレスである」ということを学んでいきます。第2部「じしゃくと石」では「金属以外のもので磁石にくっつくものはないか」と空想の輪を広げていって,「ふつうの磁石にくっつくものに砂鉄や磁鉄鉱(鉱物)があることを知ります。そこから砂(砂鉄)や石・岩石などの磁性に目を向け,この地球の謎を探求する夢を抱かせる授業書となっています。
           
 


電流と磁石
 私は小学校6年生と中2でやったことがありますが,《電流と磁石》はなかなか自分の納得できる授業のできない授業書でした。子どもたちの感想は別に悪いわけではなく「こんなので文句をいっていたら贅沢すぎる」というようなものだったのですが,なかなか自分自身が納得できる授業にならなかったのです。 

 それが吹っ切れたのは「この授業書は右ねじの法則を教える授業書ではない」と悟ってからです。つまり方位針がどっちを向くかというようなことはどうでもよくて,磁場ができるということ・磁場の存在そのものが問題なんだと心から思えるようになってからでした。とはいうものの「右ねじの法則」というのは,磁場の存在そのものも含んでいるので,こんな風に言い切ってしまうのはよくないかもしれなんだけど,でもこの授業書のねらいは「右ねじの法則が使いこなせること」ではなくて,「磁場というものをイメージ豊かに思い描けること」なのではないかと思います。 

 ハトメ方位針という小さい方位針を売っていますが,それをたくさん使うと電流のまわりや磁石のまわりの磁場の様子が分かりやすいと思います。 


電流
 オームの法則を取り扱っているため,それが出てくる中2で行われることの多い授業書です。私は小6と中2でやりました。昔はOHP用の電流計電圧計を使っていたのですが,今はOHPもなくなりました。そこで,私は実物投影機で,電流計の目盛りを見せる形で実験して授業しました。

  100オーム・200オームなどの固定抵抗器が必要です。(パーツ屋さんにあります)水池も用意できるといいです。
                                             


ものとその電気
 静電気について取り扱っています。私は最近では,中3の選択の授業でやりましたが,それ以前に小学校でもやったことがあるような気がしています。(何年生だったか忘れてしまった)いろいろ不思議で面白い実験がたくさんあります。
                                             


燃 焼
 実験が派手な点では一番といってもいいかもしれません。でも,初めての人には,ちょっと実験が怖いかもしれません。私も初めてやったときは,解説と首っ引きでひやひやしながらやりました。フラスコを割ったりなどの失敗も多いので,注意事項をよく読んでやったほうがいいです。でも,その分とても面白いです。《もしも原子が見えたなら》をやった後に,分子模型を思う存分使いながららやるといいと思います。《もしも原子が見えたなら》をやってない状態でやるのは,ちょっと無理があるような気がします。
 酸素ボンベがたくさん必要です。丸底フラスコもいくつか必要です。が,それ以外にはそんなに特別なものはいりません。とはいうものの中学校だと,マグネシウムリボンとか銅粉は理科室にあると思いますが,小学校だとないかもしれないです。
 マグネシウムを燃やすときはとても高温になることと,煙による火災報知器の作動に注意です。
 現在売られている授業書には《燃焼》と,「《燃焼》’16年版」があります。この2つは第1部はほとんど同じですが,第2部の構成がかなり違います。第2部に関しては「’16年版」の方がやりやすいと思います。

 授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 授業書《燃焼》は《もしも原子が見えたなら》《いろいろな気体》の中で描いてきた気体の分子のイメージをいっそう発展させ,それを使って化学変化への入門に導こう,という意図を持って作られた授業書です。原子・分子がとびまわってはげしくぶつかりあい,ばらばらになったり,くっつきあったりする様子を頭の中にえがくなかで,子供たちが初歩的な「燃焼」の概念をつかんでいってくれることをねらっているのです。

                                             


食べ物とイオン
 私はこの授業書は中3でやりました。この授業書と良く似たものに,<イオンと食べ物>という授業書もあるそうで,そちらの方が製作者の思いが強く現れているという話です。私はやったことがないのでその辺の違いは良く分かりませんし,思いが強く現れている方がいいのか悪いのかもよく分かりません。
 いろいろなものに,電気がとおるかどうか調べていったり,ポカリスエットつくりなどをしたりします。 イオンと仲良くなれる楽しい授業書です。巷にあふれている「イオン」と言う言葉がいかにいい加減かということも分かります。
 ポカリスエット作りは,砂糖とクエン酸だけでも,そこそこのものができます。クエン酸は薬局ですぐ手に入るので,この2つだけで作るのが面倒がなくていいと思います。
                                             


原子とその分類
 私は,小6でしかやったことがありませんが,原子と仲良くなった子達はとっても喜んでくれました。文字通り,原子の分類を扱っていますが,カラー印刷された
 周期律表の上に,そのものの本物を貼り付けていくのが,とても楽しかったです。北海道の丸山さんがそのセットを売ってくれました。もしこの授業書をするのなら,この作業はとってもお勧めです。

 授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 この授業書は生徒が常識的に知っている断片的な元素に関する知識をもとにして,それらの元素を分類しながら,その元素―――というよりも単体についての知識を拡げ,確かなものにしようというのです。その点,この授業書は《背骨のある動物たち》と似ています。

                                             


錬金術入門
 最近やってないので詳しいことが書けませんが,私はこれをやって「イオンがやっと分かった!!」と思いました。黄血塩だったかな?それまで知らなかった薬品をいろいろ使います。中学校でやりました。
                                             


光と虫めがね
   1・4部をやる人が多いけど,私はいつも全部やっています。2・3部はそんなに長くないので,機会があったらやってみて欲しいです。 「ものが見えるとはどういうことか」ということを感動的に学びます。
 
 牛乳パックを使ったカメラ作りは大人気。青焼きのコピーで,写真が撮れてしまうのもすごい!感光紙は「フジフイルムのコピアートペーパー」「B5薄手250枚入り」品番は「CPA752」です。アイロンで処理できていいです。しかし,もう製造中止になっているので,在庫がなくなり次第手に入らなくなるようです。
 2018年2月現在,アマゾンで「コピーアートペーパー」で売っていました。でも,6×6cmのものが24枚で610円です。個人でやるには十分な量ですが,クラスでやるには,「結構高いかな?」と思ったりします。
 
 子供たち一人一人に虫めがねがあったほうがいいです。ダイワのB型,または,ウチダのP-5100(3.2倍・f=125mm・透明)が安くていいです。私は小3〜中1でやりました。
 第4部の道具を自作するのがちょっと面倒ですが,そんなに難しくないし,できるととっても感動です。凹面鏡や,ミラクルミラーがあるといいです。
                                             


温度とふっとう
  私は,小4と中1でやりました。仮説実験授業は,教師実験が基本ですが,私はこの授業書では,グループ実験は結構たくさんやります。水の沸点・水の氷点・水の融点・・・・どれもみんなグループ実験しています。だって,熱しても熱しても上がらない・・・なんて様子は目の前で実際に温度計を見てほしいですから。で,それらはみんな黒板に表を作って,30秒ごとの記録をグループごとに書き入れるようにしています。沸点の方は,水の量とかそんなに気にしなくても,どんなに熱しても温度が上がらないことは確実に見ることができるのでいいのですが,氷点や融点の方は以下のようなことをいつも気にしつつやっています。

 というのは,あんまり早く凍りすぎたり,融けすぎたりして,0℃が続くって事がよく分からないままになってもいけないし,あんまり遅くなりすぎて,0℃以下に下がらないまま時間が来てしまっても困るからです。

 使う試験管は,普通の(18mmってやつかな?)・・・・そこに水を10cc弱。・・・・もう少し少なくてもいいかもしれません。これでやると15分見ておけば,その間には0℃が続いてそして,また下がる様子も,その逆も見ることができます。寒剤の温度はー10℃が保てれば大丈夫でしょう。そうそう,寒剤を作っておいて,その中に試験管を入れるのって,結構入れにくいので,あらかじめ別の試験管を入れておいて,入れ替えるようにするといいです。
 それから,この実験は何も悪さをしなくても試験管が割れることがあるので要注意。前もっていっておくといいです。0℃0℃0℃が続いて,・・・・もうこれが正解か?・・・・と思ったら急に下がりだすこの実験,私結構大好きです。もし教師実験でやっていたら,ぜひグループ実験をすること・・・・お勧めします。

 融点・沸点の概念等を学ぶ授業書。寒剤を使っての,アイスキャンデー作りや分留も楽しいです。
                                             


宇宙への道
 宇宙の広大さを実感する授業書です。扱っているのは,地球・月・太陽・そして太陽系の惑星くらいで,それ以外の恒星についてはほんのちょっぴりしか出てきません。しかし,その範囲くらいのことならよく知っているはずの人でも,改めて自分の宇宙観を見直すことになるのじゃないかなと思います。私は下は小2。上は中3でやりました。 
 地球も計の風船や太陽模型の風船があるといいです。人口日食は,マチ針とブラシの先で。
 太陽系の惑星の模型作りもお勧めです。 すべて発泡スチロール球でできます。 

   授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 この授業書は,地球や太陽系,そして宇宙のイメージを描くことを第一の目的としています。
                                                                                             


月と地球と太陽
 月の満ち欠けや日食・月食について学びます。<宇宙への道>がやってあった方がいいかなあと思います。私は小5でしかやったことがありませんが,最近は小4と小6でよく行われているようです。
 月の模型として鈴カステラを使うのも好評です。

                                            


足は何本
 低学年向きの授業書。私は小1〜小4でやっています。 足の数に注目して自然界を見ていく授業書で,昆虫の概念がはっきりしたりします。この内容を劇化したものもあって,好評です。低学年の最初の授業書はこれにすることが私は多いです。  

 授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 この《足は何本》は,いろいろな動物の足の数を間違えなく覚えさせるためのものではありません。「足の数」という,いたって単純なところに目をすえて,この地上にいるいろいろな動物の世界を子供たちと一緒に眺めまわしてみるためです。
(中略)
 科学というのは,自然についてのあれこれの知識を覚えこむことではありません。まだ知らないことについて,いろいろ予想を立てて積極的に自然に問いかけ,まだ見ぬものまでも正しく予言ができるようになるーーーそこに科学の素晴らしさがあります。その意味でこの授業書は単なる「動物について学ぶ」のではなく,動物についての一つの「科学的な見方のすばらしさ」を教えることになるのです。
  
                                              


にている親子にてない親子
 低学年向きの授業書です。動物の変態から植物の分類にまで話が及びます。
本物のイモリとトカゲがいるとまた一段と楽しさが増しますが,手に入れるのは難しいかも。これにも劇があります。私は小学校1〜2年でやりました。

     
 授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 「生物には,子から親になるときにまったく姿かたちが変わる=変態するものがある」ということを手掛かりにして,生物界を広く見渡そうという授業書です。
                            


背骨のある動物たち
  小1から中2まででやったことがあります。子どもたちは動物が好きな子が多いので,どの学年でも大好評です。動物の分類を扱っているのですが,そこに至る以前の「生物とは何か」「動物とは何か」という議論も面白いし,そういう概念がはっきりしていくのも魅力的です。 絵カードは必需品。
 タツノオトシゴやサンゴの実物があるとよりいいです。

 授業書に絵カードが印刷されたものも作られています。低学年ではそれを使って授業したほうがいいと思います。

授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 この授業書のねらいを一言で言うと,「せぼね動物」を中心に,広く自然界を見渡すことにあります。「この自然界には,こんなに多種・多様なものがある」ということを系統だててみていこうというのです。

                                            


生物と細胞
 中2・中3でやったことがあります。細胞説というのを唱えたシュワンという人のたどった道筋をそのままたどっていくといった感じの授業書です。「生きているというのはどういうことか」とか,「脳死」だとかいうことにも話は発展して,とてもいろいろ考えさせられます。ライトスコープで細胞を見る作業も楽しいです。
                                            


生物と種
 私は中3でしかやったことがありません。種とは何かということや,遺伝や進化について学びます。最後に地球の歴史を見ていくのがなかなかすごいです。
                                             


哺乳類と生存競争
 進化について学べる楽しい授業書です。地球上のある地域だけにしかいない動物がなぜそこにしかいないのかということも分かってきますし,「生存競争」ということの本当の意味もわかります。私は中3と小6でやりました。
                                            


花と実
 科学の世界で言う「花とは何か」ということを扱っています。実物を用意して授業できると良いので,やるとしたら1学期がお勧めです。かなりのモノが実物で用意でき,それを食べたりするのも楽しいです。西川さんの撮った写真もあって,これもすごくいいです。どちらかというと高学年でやられることの多い授業書です。長いお話がいくつかあって,シ〜〜〜ンとしてお話を聞いていると,教師の側からは子供たちが楽しんでくれているのかどうか不安になったりするかもしれないけど,お話自体も楽しいです。(お話については,紙芝居も作られていて仮説社で売られています) 

 授業書の前書きには,授業書のねらいが,以下のように書かれています。
 花→実の法則性をもとにして常識的な花や実の概念を科学的なものにまで高め,「まったく個々ばらばらのように見える生物の世界にも普遍的・一般的な法則・規則性がある」ということを納得させることを基本的なねらいとしています。さらに,いろいろなおもしろい植物の話もおりまぜて「植物の分類」についても視野を広げようというねらいももっています。



かけ算
 私は,小2のかけ算の授業はこれでしかやったことがありません。この授業に入る前に九九を教えておくという人もいますが,私はそういうやり方はしたことがなくて,この授業をしながら,順に1つの段ずつマスターしていくやり方をとっています。
 教科書でかけ算を教えたことがないので比較できないのですが,かけ算の意味を理解するという点,また,算数の苦手な子もとっても意欲的になるという点で,優れていると思います。習熟にはかけ算マッキーノを利用するといいと思います。


広さと面積
 この授業書が出来上がる前の検討会が1974年に西尾であったのですが,その時が私がはじめて板倉先生にお目にかかったときでした。この授業書は小4で,面積がでてきたときにやりました。つい最近,娘の引越しで部屋のどこに机を置くかってことの試行錯誤をしながら,「この方が広いね」なんていいつつ,「広さと面積」の違いを感じたりしていました。結論として学ぶ面積の求め方は同じなんだけど,やればやるほど嫌いになるか,それとも好きになるか・・・・・っていう大きな違い・・・・最近は授業をしてないので中身のことはあんまり覚えていないんだけど,その印象だけは私の中に大きく残っています。


2倍3倍の世界
   小6や中2・3で,拡大縮小だとか相似がでてきたときに使われることが多い授業書です。私は小6でしかやったことがありません。実験する数学の先駆けで,実験しつつ進めていくので「数学って本当なんだ。役に立つんだ」なんて気持ちが味わえます。√とも仲良くなれます。


図形と証明
   これは何を扱ったいるものかということを言ってしまうと,体験したときの楽しさを失わせかねないので,書きませんが,大人にとっては「昔,無味乾燥に習ったことが,こんなにも楽しく学べるんだ!」と思えるようなものです。私は小6でやりましたが,やっぱり高学年以上かなと思います。


落下運動の世界
 「僕らはガリレオ」(板倉聖宣著・国土社)という本がありますが,その内容をたどっていったという感じです。・・・という事は,つまり,ガリレオの研究をたどっていったものであるといえます。
 落下を扱っているという意味で《力と運動》と重なる部分がありますが,これは,数学的な法則性の追求を中心にしており,その部分だけを取り上げると,《力と運動》の場合よりも見事であるともいえます。 私は小6でしか行ったことがありませんが,中学校の数学や理科でも行われています。  


本当の数とウソの数
 第1部は,歩測を実際に行うことを通して,概数の意味,平均の意味を学びます。また,測定した数値がどこまで確かな数なのかといったことも考えていきます。第2部は社会の中の様々な数について,どの数がどこまで信用できるのかということについて扱っていきます。
 私は,2007年3月現在,第2部しかやったことがありません。6年生でやりました。次の機会には是非第1部から全部やりたいなあと思っています。


世界の国旗
   いろいろな国の国旗が出てきて,それに色を塗りながら進めていくのが基本だと思いますが,私は,シールを買って,それを貼り付けていく方法で進めました。子供たちはシールが大好き。カラフルな国旗も大好きです。国旗にどんな意味があるかということを学ぶと同時に,世界を学ぶ,世界史を学ぶという感じです。これにも劇があります。 私は,小5・6・中学生でやりました。
 この授業のあとカードゲームフラッグスをやるととっても楽しい。


世界の国ぐに
   私はこの授業書は,学校の授業としては第1部を6年生とやっただけで,2部以降は自分では授業したことがありませんでした。しかし,「大人が仮説実験授業を体験する 街角かがく倶楽部」で,最初は第1部と第4部の授業をし,それから何年かたってから第2部と第3部の授業をしました。どちらも,とってもたのしかったです。最初の方は,「世界で人口の多い国は?」とか「面積の大きい国は」などと聞いていくだけなんだけど,それがとっても楽しいし,その中でいろんな国についてのイメージが高まっていきます。2・3部は,小学生にはもしかしたら難しいかもしれないけど,「共和国とは何か」などととっても深く考えさせてくれます。


日本の都道府県
   私はこの授業書は,学校の授業としては途中までしかやったことがありませんでした。でも,街角かがく倶楽部では全部やりました。私としては,『たのしい授業』2017年臨時増刊号『社会科授業プラン』に載っている構成の《日本の都道府県》がやりやすいと思っています。


沖縄
   この授業書は,「暖かい土地の暮らし」みたいな単元に合わせて授業したと思います。第1部は「沖縄の地理」について扱っていて,第2部は「沖縄の歴史」について扱っています。歴史はなかなか奥深いです。


日本歴史入門
  これは,仮説実験授業というより,イメージ検証授業といわれていますが,私は「イメージ形成授業」と認識した方がいいのではないかと思っています。自然科学の分野の授業書では,問題を数問やることでの,ねらいがかなりはっきりしていることが多いのですが,これはそうではなく「授業書全体をやることによって,イメージを作り上げていく」という感じがしています。取り扱われているのは,主に江戸時代ですが,単に江戸時代について学ぶというだけでなく,時代区分,そして,社会の仕組みと社会の発展なんて事についても学ぶ授業書です。 私は小6でしかやったことがありません。 


お金と社会
 副題に,「政府と民衆の歴史」とありますが,まさにその通りです。
お金に関する歴史をたどりながら,「政府と民衆の歴史」を学んでいきます。
本物の古銭があるといいです。結構安く手に入ります。松崎さんの作ったカードを
使うといくつかの問題が「実験」という感じでやれます。
私は小6と30歳を過ぎた20年前に教え子にやりました。これにも劇があります。


日本の戦争の歴史
   明治以後の日本の戦争の歴史,その事実を学んでいきます。事実をたどっていくだけなのに,戦争ということについていろいろ見えてきて,近代史を学ぶという感じです。私は小6でやりました。


 

生類憐みの令
   将軍綱吉の出した生類憐みの令というのは,大人なら知っている人が多いと思うけど,その本当の意味まで知っているでしょうか。これは,歴史の授業書というよりも,道徳の授業書です。正義ということについて考えさせてくれると思います。この授業書の姉妹作として<禁酒法と民主主義>というのがあるのですが,それは私はまだやったことがなく「いつかやれたらいいな」と思っています。<生類憐みの令>の方は,小4・6・中3でやったことがあります。
 これにも劇があります。

 

三権分立
  6年生でやりました。文字通り「三権分立」について学ぶ授業書です。とても短いので,すぐ終わるけど,「なるほど〜〜〜〜」としみじみと思います。

差別と迷信
  この授業書,実は私は「街角かがく倶楽部」以外ではやったことがありません。同和問題を扱った授業書で小学校の場合6年生でやられることが多いです。この授業書で学ぶと「楽しい同和教育」が実現できます。できれば《日本歴史入門》や《生類憐みの令》をやってからやると効果的です。

 この授業書のねらいは「部落差別の歴史を正しく知り,部落差別を解消するための手がかりを得る」ことです。

日本国憲法とその構成
 うちの娘が作ったミニ授業書。『たのしい授業』2004年8月号に掲載されましたが,第1問目の選択肢がミスプリでした。もし授業される方がいたら,ア10 イ50 ウ100 エ200ということでやられるといいと思います。
 小学校6年生から大人までで行われています。私は6年生でやりました。社会の先生だと知っているようなことばかりかもしれませんが,それを通して深く考えてしまうような授業書です。初めて憲法に出会う子たちには最適です。

鹿児島と明治維新
 「鹿児島の観光案内をしながら,明治維新について学ぶ」といった感じのミニ授業書です。2018年現在,このミニ授業書は絵カードとセットになったものだけが販売されていて,授業書だけは販売されていません。しかし,『たのしい授業』の2017年4月臨時増刊号『社会科授業プラン』の中に授業書があります。
 私は,街角クラブでしかやったことがありませんが,その時,ちょっと調べたことを資料にしたりもしました。こちらです。

徴兵制と民主主義
 うちの娘が作った本格的な授業書。ある程度の年齢以上の人にはぜひ体験してほしい授業書のひとつです。徴兵制ということを通じて民主主義について深く考えざるを得なくなるような授業書です。