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仮説とともに 別冊1

住本健次講演集

差別と迷信の歴史的背景

中世・ヨーロッパの場合

編集:浜野純一

   原田研一

も く じ

★「日本中世の世界観」         2000.1,22 

ツインパルながお  編集 浜野純一(兵庫)  

 中世はわかりにくい/いま,なぜ中世なのか?/1970年代の見直しは無視されていた/民族的手法を取り入れた中世の世直し/見直しは近世=江戸時代から始まった/とぼしい中世のイメージ/小権力の分立の時代だった中世/惣村の出現/お金をつかいはじめた中世/中世の貿易/貴種意識が浸透していた中世/差別が目に見える形ではじまった中世/人身売買されていた中世/餓死が多かった中世/戦わされていた農民



★「ヨーロッパにおける賤民差別の解体」 2000.1.22

〜日本とヨーロッパとの比較から〜 ツインパルながお  編集 浜野純一(兵庫)

 日本と似た部分の多いヨーロッパ/同和地区の人との結婚に対する意識調査/結婚式や葬式に現れるイエ意識/名前を継ぐだけのイエ意識/名字を名のりはじめたのは武士/庶民が名字をもつのは元禄時代から/ムラ共同体の成立/ケガレ意識と血統観念/系図をつくろうとするのも元禄時代/ヨーロッパにもあるイエ意識/血統意識も共同体も強かったヨーロッパ/中世ヨーロッパの賤民/<個の思想>の芽生えから解体しはじめた/はんこからサインへ/産業革命による人口の大移動/伝染病による変化/ヨーロッパの基本的産業は牧畜だった/土地土着性が高い水田稲作農業/差別をなくすための視点



★ 「一日目の講演に関してのQ&A」   2000.1.22

ツインパルながお  編集 浜野純一(兵庫)

 *検地と刀狩りについて・・中間搾取をなくした太閤検地/刀狩りは徹底していない/近世から<他検断>の時代になった
*ヨーロッパの中世について・・ヨーロッパの時代区分
*死,血に対するおそれについて・・死や血に対する<けがれ意識>は本能ではない
*東日本と西日本のムラのちがいについて・・<被差別部落>の比率/重い年貢は東日本の方/タテ社会の東日本,ヨコ社会の西日本/同じになれない人を排除する/商品経済の発達のちがい/同じにすることが差別を生む/同じにするものは尊厳と権利/ちがいを認めた上で公平かどうかを考える



★ 「現代における差別の背景」     2000.1.23

ツインパルながお  編集 原田研一(兵庫)


 現在の常識は昔の非常識/差別の本質とその段階/日本人の国家観/近代国家のキーワード/民族とは何か/文化の目安になる言語/近代国家は言語を統一する/
国境が生まれる/統一・規格・標準/規格に合わせられない人が排除される/歴史のうねりを見る/ヨーロッパの現在を見ると/分裂の時代はいろいろな価値の共存する時代/日本型経営の特徴と行きづまり/情報化の社会では新しい排除がでてくる



★ 「二日間の講演に関してのQ&A」   2000.1.23

ツインパルながお  編集 原田研一(兵庫)


*Oneはどうして「ワン」と発音するのか*差別の本質と差別を作ったもの*アメリカは民族のサラダボール*チャンスが同じなら,排除はなくなるが格差は拡大する*『違いの違い』*中国の賤民差別は*仮説実験授業をやることが結果的に違いを認め合うことになる

 

あとがき                      ………………角友 清志



目次担当から一言

「仮説とともに」別冊として,住本講演をまとめてみました。住本さんの話題の豊富さは良く知られていますが,<差別と迷信>の裏付けとして江戸時代以外にこんなに話があるなんてびっくりしました。また,それをテープ起こしされた原田さんと浜野さんにもびっくり!ちょっと知らずにいると,すぐに話題についていけなくなるなあ・・と少し焦りながら読ませてもらいました。刺激的な話がいっぱいです。             
                  伊藤 穂澄