● はじめに
 この授業書には,栃木の湯沢光男さん・愛知の鈴木隆さんの書かれた授業ノートが出ています。そのためまた新たに私が授業ノートを作ることにはためらいがあり,「授業覚え書き」は書いたものの授業ノートにする決断をするまでにはちょっと時間がかかりました。
でも,私が書けば私なりの言葉で伝えられることもあるかもしれません。 この授業書に出てくる実験には,他の授業書のものとは違って,ちょっとしたコツのあるものが多いのですが,「湯沢さんや鈴木さんのように実験技能の優れた人よりも,むしろ私のように技能のあんまりない人間の方が伝えられることもあるかもしれない」などということも思いました。だから,今回あえて授業ノートという形でまとめさせていただくことにしました。しかし,この授業ノート作成にあたり上記の2つの授業ノートをとても参考にさせていただいたことはいうまでもありません。ありがとうございました。上記2つの授業ノートもあわせてお読みいただけるといいかと思います。

● 全体について
この授業書は,〈もしも原子が見えたなら〉をやってからやることをお勧めします。「やっていないとできない」というわけではないのですが,授業書の中にも分子模型の絵や,それを使った説明があちこちに出てきます。それらをイメージ豊かに生き生きと思い描けるためには,〈もしも原子が見えたなら〉をやってあったほうがいいと思うのです。そして〈もしも原子が見えたなら〉で学んだことをほかのどの授業書よりも有効に生き生きとと使うことのできるのがこの授業書だと思います。

 私は,仮説実験授業はいつも教室でやります。教室のほうが集中できるからです。だから,いつも授業のときには,教室へ実験道具を持って行ってやっています。この授業書は火を用いるので一般的には教室でやるのはふさわしいとはいえないものだろうとは思いますが,私はそれでも小学校でも,中学校でも教室でやりました。頭を使うのには,教室の方がいいと思います。
熱源は,ほとんど全て,アルコールランプでできます。(最後の実験だけは高温が必要なのでガスバーナーのほうがよさそうですが)また,道具のほとんどは,普通の理科室にあるようなものでできるのですが,分子模型は用意したほうがいいと思います。(中学校だと,アルコールランプがない場合がありますが,買ってもらえばいいのではないでしょうか)
ただ,酸素ボンベと丸底フラスコはたくさん使うのではじめに用意しておきましょう。(平底では絶対駄目です)丸底フラスコは中学校には普通にあるけど,小学校にはないこともあります。丸底フラスコを買うのなら「パイレックス」と指定して買うと丈夫だそうです。(値段は同じ)(1クラスで両方とも5個は用意するくらいで考えておいた方がいいです。それ以外に,水素のボンベも1つぐらい買っておくといいです。水素は酸素よりちょっと高いけど,一緒に頼むと目立ちません。最後のおまけの実験をやるのなら,二酸化炭素のボンベも必要です)
中学校にはたいていあるけど,小学校にはないかもしれないものとしては,マグネシウムリボン(粉末は駄目)と銅粉があります。薬品庫を探すとあるかもしれないし,あってもおかしくないものだと思うので,遠慮せずに買ってもらっていいと思います。スチールウールや石灰水や,アルコールはたいていあるとおもいます。
私は小学校教師も中学校理科教師も経験していますが,小学校でも中学校でもやりかたにほとんど変わることはありませんが,中学校の場合は,ちょっと化学式や化学反応式ついても付け加えることがあったりはします。(第1部だけなら,小学校の2年生でやったこともあります)
いろいろな授業書の中で,一番実験条件が難しい授業書でいろいろな失敗談にもことかかない授業書です。失敗も子どもたちは喜びますが,認識の成立という点では,スムーズに進めることができたほうがいいでしょう。準備や予備実験などは,ほかの授業書以上にやった方がいいと思います。