はしがき 科学教育の根本的な改革を成し遂げた仮説実験授業は1963年に板倉聖宣さん(1930~2018年)によって提唱されました。 仮説実験授業は,その内容ごとに授業書と呼ばれるテキストによって授業が展開されます。授業書というのは,「授業運営法を守ってその通りに授業すれば,いつどこで誰が授業しても,子どもたちが楽しいという授業が展開でき,そこでテーマとしている科学上の概念や法則を子どもたちが獲得できる」というものです。 仮説実験授業研究会では,創設以来,原案となる授業書案を検討し,全国各地で実験授業を行い,その上でさらに検討し・・・・ということを繰り返して,少しずつ授業書を作り上げてきました。その結果,2019年現在,100近くの授業書が完成しています。 〈授業書を完成させるための検討〉は「その内容は本当に誰もが学ぶに値するものなのか?」という根本的な吟味から始まって,言葉の一言一句にまで及ぶもので,とても厳しいものです。 だから,私はずっと「自分が授業書を作る」などということは考えたことがありませんでした。ところが,いろいろなきっかけが重なって,この度《空気と気圧》という授業書を作り,完成させることになりました。 〈この授業書以前の授業書〉はどれも板倉先生が中心になって作成されたものか,またはその助言を受けて作られたものばかりでした。しかし,この授業書は板倉先生の助言を受けることなく作られた授業書第1号となりました。そのため,この授業書がどのような道筋をたどって出来上がることになったのかをしっかり残しておくことにしました。 この記録が,今後の授業書開発研究に役立つものになれば幸いです。 竹田美紀子 |