まえがき
                                      竹田美紀子

 《ものとその重さ》の授業をやられるのでしたら,是非『未来の科学教育』(板倉聖宣著 仮説社)を読まれることをお勧めします。《ものとその重さ》の授業の様子がとても具体的に書かれているだけでなく,仮説実験授業というものについての基本的な考え方などが論じられているすばらしい本です。
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 私は『未来の科学教育』(当時は国土社)で仮説実験授業に出会いました。そして「これなら私にも科学の素晴らしさを子どもたちに伝えることができる」と思いました。そして,本格的な授業書の授業記録をとった最初も《ものとその重さ》の授業でした。1975年のことでした。それ以後,2年生〜中学1年生に何回となくこの授業をやってきましたが,そのどの時も〈科学の原理を自分のものにする子どもたちの様子〉を見ることができました。
 それにもかかわらず,私はずっと《ものとその重さ》の授業ノートを作ることはしてきませんでした。それはこの授業書が,そんなに特別な注意や工夫を要することなくできる授業書に思えたので,〈特に授業ノートを作るまでもない〉ように思えたからです。
 しかし,今回,2011年10月に千葉で行われる「たのしい授業全国公開授業研究会」で《ものとその重さ》の講座を行わせていただくことになったのをきっかけに,講座に参加してくださる方たちへのプレゼントの一つとして授業ノートを作ることにしました。
 作り始めた時には,「書くことはそんなにないのではないか」と思っていたのですが,書き始めてみたら,思ったよりどんどん書くことがあってびっくりしました。だから,「授業ノートを作ることにしてよかった!」と思いました。
 さらに,この授業ノートを作ろうとして発見したものがありました。それは前のページに書いた私にとっての「初めての《ものとその重さ》」の時の授業記録です。漠然と「たしか『ものとその重さ』という題名のガリ本を作ったことがあったはずだ」と探してみたら,そこには私自身の1975年の授業記録と1986年の授業記録が納められていて,更に1986年の時点で私の書いた「《ものとその重さ》運営法覚書」も載っていたのです。そこで,そこに書かれていたことを大いに参考にしてこの授業ノートを書かせていただきました。
 
 この授業ノートが,これから《ものとその重さ》の授業をされる方に,少しでも役に立つものになっていると嬉しいと思います。
 尚,この内容については,「たのしい授業全国公開授業研究会」で一緒に講座をする伊藤穂澄さん に,原稿の段階で見ていただいて意見を聞き,まとめました。また、穂澄さん には「実験に必要なもの一覧」と「あとがき」も書いていただきました。ありがとうございました。