ガリ本『授業書案 徴兵制と民主主義』
                 できました!

●はじめに
 2007年ごろから作成していました授業書案〈徴兵制と民主主義〉のガリ本ができました。
 この研究は「現在,徴兵制の国はどれくらいあるのだろう?」という私自身の疑問からスタートしたものです。〈徴兵制の国はどれくらいある?〉〈徴兵制はいつから始まった?〉ということをたどりながら,〈民主主義とはなにか〉を考えていくものです。
 そのようなことを授業書案としてまとめつつ,さらにガリ本には,詳しい論文(研究物語)や授業書の解説,実験授業のまとめ,感想文集なども収録しています。
その紹介をかねて,はしがきの一部を紹介致します。

●はしがき
 「徴兵制がある国には,今どれだけあるのだろう」・・・・・この研究は私自身のこんな疑問から始まりました。そのとき,私は徴兵制について何も知りませんでした。現在日本には徴兵制はありませんし,戦争さえ「遠い国の話」と思っていたのです。しかし,その答えを自分で調べていくうちに,徴兵制のことにどんどん興味がわいてきました。そして,いろいろな〈発見〉もたくさん見えてきました。それは,単純に「徴兵制に詳しくなった」というだけのものではありませんでした。調べていくうちに「徴兵制って,そういうものだったの!? なんだか〈民主主義とはなにか〉と考えてしまうなあ」と思えてきたのです。そしてさらには「軍隊とはなんだろうか」「国家とはなんだろうか」という問いかけにまでなっていきました。
 また,それは私だけの気持ちではありませんでした。周りの人に「ねえねえ,こんなこと知ってる? どうだと思う?」と〈発見〉を吹聴していくと,多くの人たちが私と同じように「興味深い話題だね。もっと知りたい」とか「驚いた! それはどういうことなんだろう」と感想を教えてくれました。そのため「そうか,これは多くの人にとって,学びがいがあることかもしれない。もっと分かりやすくまとめよう」と思い,さらに研究を重ねることとなりました。そして,紆余曲折を経て「授業書案としてだいたいまとまったぞ。この研究も終わりかなあ」と思うようになりました。そして,その最後にこのようなガリ本にまとめてみることにしたのです。

●論文と授業書案について ー誰に対して,何を伝えたいかー
 このガリ本では,論文としての「徴兵制と民主主義」と授業書案としての〈徴兵制と民主主義〉の2部に分かれています。授業書案は,すでにいくつかのサークルや街角かがく倶楽部,また学校での授業にかけていただきました。それらの結果はだいたい好評で,授業書案自体は「だいたい,9割方は完成だ」と思っています。もし,どこかで授業したいという方がいたら,ぜひ後半の授業書案を授業してください。
 それでは,前半の論文はなにかというと,〈論文〉と言っても,そう堅苦しいものではありません。社会の授業書には,『生類憐れみの令』や『差別と迷信』のように,授業書の前に論文が付いているものがあります。これらは授業書よりも詳しく,ときに専門的な内容です。しかし決して小難しいものではありません。私はそのような「授業書案より詳しく,少し専門的なもの」を書いておきたかったのです。それは,以前から仮説社の竹内さんが「授業書を作る人は,お話(授業書内のお話,研究物語としてのお話,読本としてのお話)を書いてほしい」と言っていたからでもありました。つまり,この論文は「研究物語としてのお話」に当たるのです。

 私は,授業書案〈徴兵制と民主主義〉を多くの人に体験してもらいたいと思っています。そのため「じゃあ,授業書案だけあればいいじゃないか」とも思いました。しかし,そう思いながらも「〈なぜ私がこの研究をしようと思ったのか〉ということも,やっぱり書き留めていきたい」とも思っていました。それは「研究の発見自体がたのしいことであったから,その過程や感動ごとみんなに伝えたい」ということでもありました。また「授業書案には書ききれなかったけど,私はこのようなことを調べ,このような文献にあたりました」ということでもありました。そして「私が逆の立場なら,ぜひ研究者の気持ちを知りたい。〈授業書を作る動機〉は,授業書自体をより深く知るための大きな手がかりとなるのではないか」ということでもありました。
 しかし,それら以上に「この論文そのものが,私が伝えたいことでもある」と思ったのです。授業書案を元に授業を受けていただくことがあれば,それもいいと思います。しかし,そういう環境がなかったり,授業書案ではあまりにもコンパクトであるため「もっと深く知りたい」という方には,ぜひこちらの論文を読んでいただきたいのです。この中には,私の研究をそのまま・・・・疑問から,仮説実験するところまで・・・・・まとめてあります。そのため,授業を受ける以上にその研究に触れていただけるのではないかと考えています。(後略)